「女川セラミカ工房
勝手に広報部」とは?
呼ばれてないのに現れた!
「震災で色を失った町をスペインタイルで彩りたい」という女川セラミカ工房のチャレンジに魅せられて、勝手に?応援を始めた東北応援団 白金支部の有志による広報部!
合言葉は「ノーリーズン、理由なんていらんねん」。



みなとまちセラミカ工房
女川駅前プロムナードへ移転リニューアルOPEN!
店舗では手作りのスペインタイルが購入出来るだけでなく、スペインタイルの絵付け体験も出来ます! 色鮮やかなタイルに心まであったか~くなるお店

みなとまちセラミカ工房
〒986-2261 宮城県牡鹿郡女川町女川駅前
シーパルピア女川E棟21
連絡先:0225-98-7866
webサイト:
http://www.ceramika-onagawa.com

【第9 回】『The Final!!! 女川まちびとインタビュー
~セラミカ工房を通して見る女川の未来~ 後編』
2017/4/14
右、セラミカ工房 代表 阿部鳴美さん、左、勝手に広報部 平林真百合

こんにちは。ホヤと日本酒が大好き!白金支部の胃袋担当、平林真百合です。

「震災で色を失った女川の町を色鮮やかなスペインタイルで彩りたい」
その思いを胸に代表の阿部鳴美さんが陶芸グループの仲間と立ち上げた「みなとまちセラミカ工房」。

セラミカ工房さんについて、ぜひ皆さんに知っていただきたいとご紹介して参りました「セラミカ工房 勝手に広報部」は今回が一区切り、最終回となります。

「第8 回 The Final!!! 女川まちびとインタビュー~セラミカ工房を通して見る女川の未来~前編」に引き続き、今回もセラミカ工房と繋がる女川の方々にインタビューさせていただきました。

掲載の順番はインタビューさせていただいた順番になっております。
セラミカ工房のタイルを実際に飾っていらっしゃる方、セラミカ工房のタイルをデザインされている方。
そして、取材の前にセラミカ工房代表の阿部鳴美さんに「どなたのお話を聞いてみたいですか」と伺ったところ、「ぜひセラミカ工房の作り手に」とのお返事をいただきました。
「私は広報代表なので前に出る機会が多いのですが、セラミカ工房は皆で築いてきた工房です。
ですからこの機会にぜひ他のスタッフの声を聞いてみて下さい。」
阿部さんからの温かい思いが込められたお申し出に「ぜひ!」とお返事させていただき、セラミカ工房の作り手さんお2 人にもインタビューをさせていただきました。

掲載したインタビューを通して「セラミカ工房の魅力とは何か」、その秘密をあなたにも感じていいただける事と思います。ぜひ最後までお読み下さい!

「タイルが飾られた事で、不安だった段差が人を笑顔にする特別な階段になりました」
セラミカ工房のタイルを飾られている方
ダイシン / かふぇ さくら 島貫洋子さん
いつも優しい笑顔で訪れる人を出迎える島貫さん。
温かいもてなしに惹かれ、女川町内外を問わずお茶に訪れるファンが多い。
女川の町には、セラミカ工房が制作した店名の入ったタイルが飾られているお店がたくさんあり目を引きますね。「ダイシン / かふぇ さくら」でもセラミカ工房のタイルを飾られていますが、タイルが作られた際のエピソードを教えてください。

「この『ダイシン』という洋品店は祖父の代から80 年続けているお店なのですが、2 代目の母が好きだった画家 中原淳一さんの描く絵をイメージしたタイルにして欲しいとお願いしました。」

完成したタイルをご覧になった時、どのように感じましたか?
「中原淳一さんの世界がそのままタイルで表現されていて、すごく嬉しかったですよ。スペインタイルって色が鮮やかでとてもきれいだし、誰かがお店をイメージして何か作ってくれることなんてないですものね。」

お店の入り口にある階段にもタイルが飾られていますね。
「昨年、きぼうのかね商店街から女川駅前にお店を移転したのですが、新しい店舗には、歩道とお店の間に段差があり、お客様にわざわざ階段を上って店内に入ってきていただく事に最初はとても抵抗感がありました。ちょうどその頃、セラミカ工房の阿部鳴美さんから依頼があって、一般の方が作ってくださったタイルをお店の階段に飾ったのですが、そうしたら自分が作ったタイルを探しに町を訪れている方の『あったー!』という嬉しそうな声が聞こえたり、子どもが階段のタイルを見て喜んで上がってきてくれたり、タイルが飾られた事で、不安だった段差が人を笑顔にする特別な階段になりました。」

お店ではセラミカ工房のタイルを使ったコースターも使ってらっしゃいますね
「カフェをご利用のお客様に『素敵でしょ』って声を掛けて、セラミカ工房についてご説明しながら、実際にタイルを見て触っていただいています。セラミカ工房はここから近いので、興味を持った方は帰りに寄ってくださっていますよ。」

女川町にとってセラミカ工房はどのような存在だと感じますか?
「なくてはならない存在ですね。『色をなくしてしまった町に彩りを取り戻したい』と願い、取り組まれていること、そしてそれを町の女性達が中心になって運営しているというところがすごく良いなって思っています。今後もますます頑張って欲しいですね。」

ダイシン / かふぇ さくら
「ダイシン」では女性向けの洋服や小物を販売。同じ店舗内にある喫茶コーナー「かふぇ さくら」では、女川の駅をイメージして名付けたコーヒー「始発駅ブレンド」「終着駅ブレンド」、とろけるチーズとさんまそぼろのコンビネーションがたまらない! 翔ジャパンの「さんまそぼろ」を使った「さんまそぼろトースト」などが楽しめます。女川のまち巡りの途中に、ほっと一息つけるお店です。ぜひお立ち寄りください。
住所 >> 宮城県牡鹿郡女川町女川浜字大原71
電話 >> 0225-53-2334

「セラミカ工房の温かいタイルの色合いは、作り手さんの人柄そのもの」
セラミカ工房のタイルデザインをされている
D-BONS(ディー・ボンズ)さん
女川町出身、拠点を置くグラフィティ(※)ライター。女川町のキャラクター「シーパルちゃん」を
ユニークに描いたものから郷土愛を強く感じさせるデザインなど、その独自のスタイルにファンが多い。
※グラフィティ・・・街中の壁などにスプレーやペンキで描かれた落書き(アート)のこと。
60 年代ニューヨークのヒップホップカルチャーの流行から誕生したと言われている。

アーティストのCDジャケット、イベントフライヤー、店舗の看板デザイン、ウェアーデザイン等、ジャンルの枠を超えた様々なアートワークを手がけているD-BONSさんですが、セラミカ工房のタイルの絵柄はどのようにデザインされていますか
「こういうテーマで作って欲しいとセラミカ工房さんから依頼があるので、テーマに沿ったデザインを考え、そこに自分のオリジナリティをプラスしています。どのオーダーについてもそうですが、依頼されたイメージのその上をいきたい、良い意味で裏切るようなデザインにしたいと思ってやっています。セラミカ工房さんのタイルも数多くデザインしましたが、一枚一枚に思いいれがありますよ。」

今後、セラミカ工房と一緒に取り組んでみたいことはありますか?
「実は以前、私の方から企画を提案して縁起物のタイルを作った事があります。鯛や鶴と亀が入ったような縁起の良い柄を私がデザインして、それをセラミカ工房の作り手さんにタイルにしてもらった商品です。スペインタイルの華やかな色合いに日本の縁起の良い絵柄がマッチしたタイルは、会社やお店、家に飾りたいという方からの注文が入りとても好評でした。またやりたいですね。」

D-BONS さんのスタイルで描かれた縁起物のタイルは独特な存在感があります
セラミカ工房に今後期待することは何でしょうか?
「私はグラフィティを生業にしていて、震災後は女川に彩を加えたいと思って描いてきました。
セラミカ工房さんとは『町に色を取り戻したい』という願いを持って取り組んできた部分も共通しているので、お互いに今後も頑張って活動を続けていきたいですね。」

セラミカ工房の魅力はどのようなところだと思いますか?
「セラミカ工房さんのタイルは、すごく温かい色合いですよね。それは工房の作り手さんの人柄そのままだと感じています。美味しい料理を作る人は、その人自身も絶対に魅力的な人だと個人的に思っているのですが、それと同じで、セラミカ工房さんのタイルを見てもらえれば、このタイルが作られた女川という場所が良い町なのだろうな、セラミカ工房って良い工房なのだろうなって連想してもらえるはずです。
何かやっている人って年齢や性別を問わずキラキラと輝いていますよね。セラミカ工房の作り手さんもいつ会ってもキラキラした方ばかりで、そこがセラミカ工房さんの魅力に繋がっていると思います。」

D-BONS さんが手がけるバー「SUGAR SHACK」
「セラミカ工房」と同じ女川駅前の商業施設「シーパルピア」内にあり、店内はいつも多くの人で賑わっています。お店の壁一面に描かれたD-BONS さんのグラフィティは圧巻! お酒はもちろんフードも充実。女川を訪れたらぜひふらっと入ってみてほしいお店です。
住所 >> 宮城県女川町女川浜字大原1 シーパルピア女川E 棟20
営業時間 >> 18:00~24:00


「応援してくださる全ての皆さんに『ありがとう』と伝えたい」
みなとまちセラミカ工房
経理・つくり手 丹野富士子さん / つくり手 遠藤美千代さん
左から、丹野さん「目標は工房の皆でスペインに行くこと」、遠藤さん「この仲間だからやってくることが出来た」
工房設立の切っ掛けとなった陶芸サークル時代から一緒に活動してきたお2 人。

セラミカ工房で働いていて楽しかったこと、嬉しかったことを教えてください
遠藤さん「震災後に仲間達と0 から始めたセラミカ工房が、皆さんの支援をいただいて、色々なお店が並ぶシーパルピアの中に1 つの店舗として仲間に入れていただけたこと。これが一番嬉しかったですね。」

丹野さん「経営からタイル制作まで、勉強も沢山させていただいたし、お客様や工房の仲間達との出会いもいただきました。全部が私にとって大事な財産ですね。」

セラミカ工房は女川町では珍しい女性だけの職場ですが、働き易さや魅力を感じるところを教えて下さい
丹野さん「勤務がシフト制なので家族の予定に合わせて希望日に出勤出来るところが良いですね。子どもの病気など急な出来事も皆さん理解してくださいます。また、通常はタイル制作を習得してから就職先を探されると思うのですが、セラミカ工房は初めての方でも学びながら働いていただけるのが大きな魅力です。」

遠藤さん「代表の阿部鳴美さんはいつも笑顔で、明るくて優しい方ですが、タイルの仕上がりについてはとても厳しいですね。それが逆に励みになって、『頑張ろう』という気持ちにさせてくれます。」

セラミカ工房代表の阿部鳴美さんからお2人への質問をお預かりしてきました。
「10年後の女川はどんな町になっていると思いますか?」

遠藤さん「10 年後は町中に飾られているスペインタイルがもっともっと増えていてほしいですね。そしてその様子を見ながら『私は仕事としてここに関わることができた』と自分自身の誇りに思えるようになっていたいと思います。」

丹野さん「女川は昔から町長をはじめ若い人がいきいきと動き、それを年長者が見守ってくれる町です。10 年後は次の世代が前線で活躍し、それをまた年長者が見守っている町になっていると思います。女川はよそ者を喜んで受け入れる町だし、女性の活躍を男性が理解して支えてくれ町でもあります。10 年後もきっと変わらず色々な人が活躍する町になっていると思いますね。」

遠藤さん「現在も以前より女川町にIU ターンする方が増えて、地元の人とうまく溶け合って素敵な町になっていますよね。新しいお店も増えて、10 年後は今よりもっと『見て食べて楽しんで帰れる町』になっているといいなと思います。」

最後に読者の方にメッセージをいただけますでしょうか。
丹野さん「女川に彩りを取り戻そうという願いを持って始め、皆さんのご支援で少しずつ色を取り戻すことが出来ています。女川に足を運ぶのが難しい方も、女川の事やセラミカ工房の事を思い、気にかけてくださっている事に心から感謝しています。応援してくださる全ての皆さんに『ありがとう』と伝えたいですね。」

遠藤さん「新しくなっていく町と一緒にスペインタイルが散りばめられたこの女川町を、町外から来てくださる方にもぜひ楽しんでいただきたいですね。ぜひ遊びにいらしてください。」

みなとまちセラミカ工房
女川駅前プロムナード「シーパルピア」にある工房は、鮮やかな色のスペインタイルが並ぶ素敵なお店。タイルの絵付け体験をする事も出来ますよ!(ご希望の方は事前にお問合せ下さい)住所 >> 宮城県牡鹿郡女川町シーパルピア女川E 棟21
ホームページ >> http://www.ceramika-onagawa.com/


「編集後記」
取材場所のメインとなったのは2015 年末に完成した女川駅前のテナント型商業施設「シーパルピア」でした。
インタビューの中で印象的だったのが「ここは商業施設だが、何も買わなくてもいい。町内外問わず訪れた方が散歩したり、外の椅子に座ってのんびりお茶を飲んだり、そういう場所になってほしい」という言葉でした。

「町の人がそこで時間を過ごす事で町の表情が生まれる。町としてはそういう空間をつくっていきたい」とは、女川町長 須田さんの言葉。

「お店に入ると何か買わなきゃいけないと思ってくださる方も多いのですが、私たちは『顔を見せに来たよ! 女川に遊びに来たよ!』と、声を掛けに店内に入ってきてほしいと思っています。そういう時間を訪れた方と共有したいですね。」こちらは、セラミカ工房 丹野さんの言葉。

「復興計画は8 年。その頃、町並みは完成していても人の流れがどうなっているかが鍵だと思っています。交流人口や流通をこれからどんどん変えていきたいですね。女川に来て美味しいものを食べていただくこと、女川ならではの魅力がある町をつくり、女川だから行こうと思っていただけるようにしたいですね。」
観光協会 会長 の鈴木さんの言葉です。

セラミカ工房のタイルだけではなく、そこに滞在する人々の姿もまた町を彩ります。
この記事を読んでくださった皆さまも、ぜひふらっと女川を訪れてみてください。

「セラミカ工房 勝手に広報部」の記事は今回で終了ですが、終わりは始まり!
また別の形で今後も皆さまにセラミカ工房や女川町の魅力をお伝えしていく予定です。
どうぞ楽しみにお待ちください。またお会いしましょう!